履歴書・職務経歴書は“技術職の第一関門”
放射線技師としての転職活動では、履歴書と職務経歴書の完成度が書類選考通過のカギを握ります。 技術職である放射線技師は、実績やスキルを具体的に示すことが重要です。 また、医療機関ごとに求められる人物像も異なるため、応募先に合わせたカスタマイズも欠かせません。 この記事では、放射線技師が転職活動を始める前に押さえておくべき履歴書・職務経歴書の作成ポイントを解説します。
履歴書の書き方:基本情報から差がつくポイントまで
履歴書はフォーマットがある程度決まっているものの、放射線技師としての特徴を出す余地もあります。
1. 資格・免許欄は明確に記載する
・診療放射線技師免許(取得年月を記載) ・検診マンモグラフィ撮影認定技師(所持していれば必須) ・X線CT認定技師/胃がん検診技術認定なども評価対象
これらの資格を記載する際には、正式名称で記載し、取得年や番号を忘れずに。 医療機関によっては、撮影装置のメーカーごとにスキルが求められる場合もあるため、資格に加えて装置の操作経験も伝えると良いでしょう。
2. 志望動機は“その施設ならでは”の理由を書く
「スキルアップしたい」「地域医療に貢献したい」など、よくある動機は抽象的すぎて伝わりにくいです。 以下のように、施設の特徴を具体的に挙げることで説得力が増します。
例: 「貴院では脳神経外科領域に特化した画像診断に力を入れており、MRIやCTの技術向上が期待できる環境だと感じました。 これまでの一般撮影経験を活かしつつ、より専門的な検査技術を習得したく、志望いたしました。」
職務経歴書の書き方:構成と内容が評価を左右する
職務経歴書は、これまでの勤務経験や具体的な業務実績を記す書類です。 放射線技師の場合、検査内容・使用装置・実績・工夫などを体系的に整理することが大切です。
1. 基本構成は「概要→業務内容→実績・工夫」
【勤務先情報】 〇〇総合病院(2019年4月~現在) 雇用形態:常勤
【担当業務】 ・一般撮影(1日平均30件) ・X線TV(造影検査、透視) ・CT(64列GE製) ・MRI(Philips製1.5T、週3回対応) ・PACS管理・装置メンテナンス補助
【工夫・実績】 ・新型装置導入時のマニュアル作成とスタッフ研修を担当 ・再撮影率を前年比で20%削減(検査前説明と撮影体位調整の改善により)
2. 使用機器・経験件数をできるだけ具体的に記載
放射線技師の経験値は、担当検査の種類と件数、装置の種類で大きく異なります。 具体的な装置名や導入年数、メーカー(GE、Canon、Philipsなど)も評価対象になります。
3. 他職種との連携経験も評価される
近年はチーム医療が重視されており、医師・看護師・臨床検査技師との連携が求められます。 「診療科との連携で撮影フローを改善した」「医師からの撮影オーダーの優先順位調整を行った」など、主体的な関与が伝わるエピソードを入れましょう。
自己PRの書き方:経験と人間性のバランスが鍵
職務経歴とは別に、自己PR欄を設けることで自分らしさを伝えることができます。 ただし、医療職としての客観性と誠実さも大切です。
良い自己PR例: 「患者様の不安を取り除くコミュニケーションと、正確かつ迅速な検査の提供を心がけています。 特に整形外科での経験が長く、骨撮影のポジショニングには自信があります。 また、検査の安全性や被ばく低減にも常に意識を向け、院内の勉強会での発信も行ってまいりました。」
NGな自己PR例: 「とにかく頑張ります」「明るい性格です」 →抽象的であり、医療職の責任や技術が伝わりません。
病院ごとのカスタマイズが重要
総合病院とクリニックでは求められるスキルが異なるため、応募先の特徴に合わせて内容を調整することが重要です。 ・総合病院:多種多様な検査経験、複数装置の操作経験 ・クリニック:一人ひとりの患者対応力、限られた人員での運営経験
添削やレビューを活用しよう
自己完結せず、第三者に内容を見てもらうことも大切です。 転職エージェントや業界経験者のレビューを受ければ、視点の抜けや言葉の不適切さを事前に修正できます。
履歴書・職務経歴書は“技師としての顔”
履歴書と職務経歴書は、あなたがどんな放射線技師であるかを最初に伝えるツールです。 「どのような経験を積んできたのか」「どんな強みがあるのか」「どのような意欲を持っているのか」を具体的に記載することで、書類選考通過率を高めることができます。 丁寧に作り込むことで、面接にもつながりやすくなります。 妥協せず、納得のいく書類を作成しましょう。